高島易断
『高島易断』は、明治期の易占家として知られる高島吞象(1832–1914)の著作です。通称を「吞象」とし、本名は高島嘉右衛門として伝えられています。
高島と『易(周易)』:物語の流れ
『周易』は古代中国において形成され、八卦・六十四卦・卦爻辞、そして後世の注釈(十翼)を通じて体系化されました。哲学的な古典であると同時に、占いとしても用いられてきた書物です。
高島吞象の伝記には、劇的な転機として「獄中で易を学んだ」という逸話が語られます。投獄中に『易経』を手にし、時間のすべてを注いで読み込み、紙捻を筮草に見立てて囚人たちのために占った――苦境のただ中で、卦は机上の古典から「状況を読む言葉」へ変わっていった、というのです。
とりわけ有名なのが、越獄騒動の折に占ったとされる「履之井(りのせい)」の話です。履は虎の尾を踏むような危うさ、井は綱の上り下りという一筋の活路。混乱の中で、物干し縄のような綱を頼りに身を隠して生き延びた――その綱こそが「井」の象だった、という語りは、易の象が現実の動きと重なる瞬間を印象深く描きます。
出獄後は横浜へ移り、実業と易占の双方で活躍したとされます。人々の相談から時局まで、卦象・卦辞・爻辞にもとづく判断を具体の行動へ落とし込み、多くの占例として残したものが『高島易断』です。
本アプリの収録内容(卦ごと)
- 卦名解読:卦名と構造の導入
- 卦辞/象辞:本文の要点
- 占断:高島易断に由来する要点の見立て
- 爻変詳解:各爻の変化解釈と占例
学習・参照用として掲載しています。原典はパブリックドメインです。